生成AIとは?仕組み・できること・苦手なこと・使うときの注意点をやさしく解説
ChatGPTのような「話しかけると答えてくれるAI」や、文章から画像を作るAIをまとめて「生成AI」と呼びます。ここ数年で一気に身近になりましたが、仕組みや注意点をきちんと知らないまま使っている人も多いはずです。この記事では、生成AIとは何かを、できるだけ専門用語を使わずに説明します。国の機関が出している資料をもとに、使うときに気をつけたいことまでまとめました。
先に結論:生成AIは「それらしい続き」を作る道具
- 生成AIとは:質問や指示(プロンプト)に応えて、文章・画像・音声・動画などを新しく作るAIのこと。
- 仕組み:大量のデータから学んだパターンをもとに、「次に来そうなもの」を確率で選んで組み立てている。
- 得意なこと:下書き、要約、言い換え、アイデア出し、翻訳、画像の試作など。
- 苦手なこと:正確な事実の保証。もっともらしい間違いを出すことがある。
- 注意点:個人情報や会社の秘密を入れない、出てきた内容を確認する、著作権に気をつける、サービスの規約を読む。
生成AIとは
個人情報保護委員会は、令和5年6月に出した注意喚起の中で、生成AIサービスを「質問・作業指示(プロンプト入力)等に応えて文章・画像等を生成するAIを利用したサービス」と説明しています。
これまでのAIは、写真に写っているのが犬か猫かを見分ける、迷惑メールを振り分ける、といった「判別」や「予測」が中心でした。生成AIは、学んだデータをもとに新しいものを作り出す点が大きな違いです。
| これまでのAI(判別・予測) | 生成AI | |
|---|---|---|
| やること | 入力されたものが何かを見分ける、数値を予測する | 文章や画像などを新しく作る |
| 例 | 顔認証、迷惑メールの判定、売上予測 | 質問への回答、文章の要約、イラストの作成 |
| 使い方 | システムに組み込まれていて、意識せずに使うことが多い | 人が言葉で指示して、結果を受け取る |
どうやって文章を作っているのか
文章を作る生成AIの中心にあるのは「大規模言語モデル(LLM)」と呼ばれる仕組みです。インターネット上の文章など大量のテキストを学ぶことで、「この言葉の次には、どんな言葉が来やすいか」というパターンを身につけています。
質問を受け取ると、AIはその質問に続く言葉として、もっともありそうなものを1つ選びます。選んだ言葉を付け足して、また次の言葉を選ぶ。これを何百回、何千回とくり返して、1つの文章にしています。
ここで大事なのは、AIが選んでいる基準が「正しいかどうか」ではなく「ありそうかどうか」だということです。個人情報保護委員会の注意喚起でも、生成AIの回答は「確率的な相関関係に基づいて生成される」ため、不正確な内容が含まれることがあると書かれています。もっともらしい間違いが出てくることを「ハルシネーション(幻覚)」と呼ぶこともあります。
画像を作るAIも、考え方は似ています。大量の画像と説明文の組み合わせから「この言葉にはこういう見た目が合う」というパターンを学び、指示された言葉に合う画像を組み立てています。
生成AIの種類
作るものによって、いくつかの種類に分けられます。
| 種類 | 作るもの | 使われ方の例 |
|---|---|---|
| 文章の生成 | 回答、文章、要約、翻訳、プログラムのコード | メールの下書き、会議メモの要約、調べものの入り口 |
| 画像の生成 | イラスト、写真風の画像、デザイン案 | 資料の挿絵、デザインの試作、アイデアの見える化 |
| 音声の生成 | 読み上げ音声、声の変換、音楽 | 動画のナレーション、文章の読み上げ |
| 動画の生成 | 短い動画、アニメーション | 広告やSNS用の短い映像の試作 |
最近は、1つのサービスで文章も画像も音声も扱えるものが増えています。写真を見せて質問する、声で話しかけて声で答えてもらう、といった使い方もできるようになりました。
生成AIが得意なこと
- 下書きを作る:メール、案内文、企画書のたたき台など、ゼロから書くより速く形になります。
- 要約する:長い文章や会議の記録を、短くまとめてもらえます。
- 言い換える:硬い文章をやわらかく、長い文章を短く、といった書き直しが得意です。
- アイデアを出す:タイトル案、企画の切り口、質問の候補などを、たくさん出してもらえます。
- 翻訳する:外国語の文章の大意をつかむ、簡単な文章を訳す、といった使い方ができます。
- 説明してもらう:わからない言葉や仕組みを、自分のレベルに合わせて説明してもらえます。
生成AIが苦手なこと
- 正確さの保証:数字、日付、人名、法律の内容などを間違えることがあります。出典を求めても、存在しない資料を挙げることがあります。
- 最新の情報:学んだデータの時点より新しい出来事は知りません。検索と組み合わせたサービスでも、取りこぼしはあります。
- あなたの事情の判断:契約、税金、健康など、個別の事情で答えが変わることを、AIだけで判断するのは危険です。
- 責任をとること:AIの回答をそのまま使って問題が起きた場合、責任を負うのは使った人です。
使い分けの目安
「間違っていても自分で気づける・直せる」作業は、生成AIに任せやすい作業です。下書きや言い換えはこれに当たります。反対に「間違っていても自分では気づけない」内容は、必ず公式の情報や専門家で確かめましょう。
日本ではどのくらい使われているか
総務省の令和8年版情報通信白書によると、日本で生成AIを使ったことがある人の割合は、2025年度の調査で58.8%でした。前年度の26.7%から大きく増えています。
| 国 | 利用経験の割合(2025年度) |
|---|---|
| 日本 | 58.8% |
| 米国 | 75.6% |
| ドイツ | 75.6% |
| 中国 | 93.6% |
白書では、ほかの国と比べると日本の利用率はまだ低いものの、前年度からの伸びはもっとも大きかったとしています。種類別では、文章を作る「テキスト生成」の利用経験が55.0%(前年度24.0%)でした。
なお、2025年度の調査から15〜19歳も対象に加わっています。前年度と同じ20歳以上だけで比べると52.2%です。数字を引用するときは、この違いに気をつけてください。
使うときの注意点
個人情報を入れない
個人情報保護委員会は、一般の利用者に向けて次のような点に注意するよう呼びかけています。
- 入力した個人情報が、AIの学習に使われ、ほかの人への回答として出てしまうおそれがある
- 回答には不正確な内容が含まれることがある
- サービスの利用規約やプライバシーポリシーを確認する
自分や家族、友人の名前・住所・電話番号・健康のことなどは、入力しないのが基本です。どうしても必要な場合は、名前を「Aさん」にするなど、特定できない形に置き換えましょう。
会社の秘密を入れない
仕事で使う場合は、顧客の情報、社内の資料、まだ発表していない計画などを入れてよいか、会社のルールを確認してください。個人情報保護委員会は、事業者に対しても、個人データを入力する場合はそれが学習に使われないことを十分に確認するよう求めています。入力したデータを学習に使わない設定や、法人向けのプランが用意されているサービスもあります。
著作権に気をつける
文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月)では、AIで作ったものを使う場面でも、人がAIを使わずに作った場合と同じように著作権の侵害かどうかを判断するとしています。具体的には、既存の作品と似ていること(類似性)と、既存の作品をもとにしたこと(依拠性)の両方が認められると、侵害になりえます。
- 特定の作品やキャラクターにそっくりな画像を作って公開・販売するのは避ける
- 作風や画風といった「アイデア」が似ているだけなら、侵害にはならないとされています
- AIそのものは著作者になれません。簡単な指示だけで作った生成物には、著作権が認められないことがあります
文化庁は、利用者向けのチェックリストとガイダンス(令和6年7月)も公開しています。作ったものを公開したり仕事で使ったりする前に、一度目を通しておくと安心です。
出てきた内容を確かめる
数字や固有名詞、法律や制度の説明は、公式サイトや元の資料で確かめてから使いましょう。AIに「出典を教えて」と頼んだ場合も、その出典が本当にあるか、書いてある内容と合っているかを自分で開いて確認する必要があります。
はじめての人向け:使い方と指示の出し方
多くの生成AIサービスは、アカウントを作れば無料のプランから試せます。最初は次の3ステップがおすすめです。
- サービスの利用規約と、入力したデータの扱い(学習に使うかどうか)を確認する
- 個人情報を含まない、身近な作業で試す(例:文章の言い換え、献立のアイデア)
- 出てきた答えに対して「もっと短く」「中学生にもわかるように」などと追加でお願いし、やりとりで仕上げる
指示(プロンプト)は、次の4つを入れると、思った答えが返ってきやすくなります。
| 入れること | 例 |
|---|---|
| 役割 | あなたは小さな会社の総務担当です |
| やってほしいこと | 社員向けに、健康診断の案内文を書いてください |
| 条件 | 300字以内、やさしい言葉で、日程と持ち物を入れる |
| 材料 | 日程は12月3日、場所は本社3階会議室、持ち物は問診票 |
一度で完璧な答えを求めず、「ここを直して」とやりとりを重ねるのがコツです。うまくいった指示は、メモしておくと次から使い回せます。
よくある質問
Q. 生成AIとChatGPTは同じものですか?
ChatGPTは、生成AIを使ったサービスの1つです。生成AIは技術や仕組みの総称で、ChatGPTのほかにも、文章や画像を作るさまざまなサービスがあります。
Q. 無料で使えますか?
多くのサービスに無料のプランがあります。ただし、使える回数や機能に制限があることが多く、仕事でたくさん使う場合は有料プランが必要になることもあります。
Q. AIの答えは信用していいですか?
参考にはなりますが、そのまま信じるのは危険です。仕組み上、もっともらしい間違いが出ることがあるので、大事な内容は必ず公式の情報で確かめてください。
Q. AIで作った画像は自由に使えますか?
サービスの利用規約で、商用利用ができるかどうかが決められています。また、既存の作品に似ている場合は著作権の侵害になることもあります。規約と、文化庁の考え方を確認してから使いましょう。
Q. 入力した内容は誰かに見られますか?
サービスによって扱いが違います。学習に使われる設定になっている場合もあるので、プライバシーポリシーや設定画面を確認してください。
まとめ
- 生成AIは、指示に応えて文章・画像・音声などを新しく作るAI
- 次に来そうなものを確率で選んでつなげているので、もっともらしい間違いが出ることがある
- 下書き、要約、言い換え、アイデア出しが得意。正確さの保証は苦手
- 日本の利用経験は58.8%(2025年度)まで増えている
- 個人情報や秘密を入れない、著作権に気をつける、内容を確かめる、規約を読む
出典:個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(令和5年6月2日)/同 報道発表資料(PDF)/総務省「令和8年版情報通信白書」/同(生成AIの利用状況)/文化庁「AIと著作権について」/文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年3月15日)